
単利と複利
利息や利回りの計算方法には、単利と複利の2種類があります。
単利は当初預け入れた元金に対してのみ利息がつきます。
複利の場合は、得られた利息を元金に加えて運用するため、同じ金利の場合には単利よりも利回りは高くなります。
単利法
単利法とは元金だけに利息が発生する方式のことです。
例えば「元金100万円」「年利10%」の場合
という形です。
複利法
複利法とは、元金によって生じた利息を次期の元金に組み入れる方式であり、元金だけでなく利息にも次期の利息がつきます。重利(じゅうり)とも呼ばれます。
単利法のときと同じく、例えば「元金100万円」「利子10%」の場合
2年目は、100+10万=110万円を元金として計算します。
3年目は、110+11万=121万円を元金として計算します。
以降、同じように計算していきます。
これをグラフにすると下記のとおりです。(※計算において税金は考慮していません。)
引用元: 投資の勉強:投資でやるべき事 『複利の力を活かす』 – myINDEX
短期間では、あまり大きな差になりません。しかし運用期間が長くなると単利と複利の差は、実際これ程違ってきます。
単利の金融商品、複利の金融商品
金融商品によって金利と適用条件はさまざまで、結果として運用利益は異なります。
この金融商品にも、単利の商品と複利の商品があります。
単利商品 | 複利商品 |
---|---|
定期預金(銀行) 毎年利払型 債券(国債、地方債、社債等) 投資信託(毎月分金配受取型) |
定額貯金(ゆうちょ銀行) 定期預金3年超 元利自動継続型 投資信託(無分配型、分配金再投資型) 貯蓄型保険 |
同じ複利の金融商品でも、利息を元金に組み入れる期間の違いで利息収入の合計額に差が出ます。例えば1年複利よりも半年複利の方が、増え方は早くなります。
また、日本の国債は単利ですが、アメリカ、オーストラリアなどの外国債は、複利で取引されています。
複利計算のポイント
ローンの支払いや積立投信の運用額、FXや株式で利益を出し続けた時のリターンなどお金の計算をする時によく出てくるのが複利計算です。
複利計算は、一定期間ごとに支払われる利息を元金に組み入れて計算します。そのため、雪だるま式に、単利よりも複利の方が資産を増やせます。
【1年複利の場合の計算式】
元利合計=元金×(1+年利率/100)年数
半年複利や一ヶ月複利などについては、計算式の「利率」と「年数」を置き換えてみてください。
単利の計算は「足し算」ですが、複利の計算は「掛け算」なので、投資期間が長ければ長くなるほど差が出ます。
長期投資による「複利効果」とは
「複利効果」とは、運用で得た収益や利息を再び投資することで、利息が利息を生んで膨らんでいく効果のことをいいます。
投資を通じて得た利益を再投資することで、「複利効果」を期待するのが長期投資の大きな特徴です。
短期間では大きな差がなくても、長期になると複利の効果が大きくなります。
ただし、複利効果を生かした長期投資を実践するポイントは「安定」ということです。
より大きな収益が期待できるのは、商品価格や利回りが安定しており、長期間投資が可能というのが条件になります。
ところが、そんな都合のよい商品はそんなに多くあるものでもありません。
また、投資には元本および利息の保証がありません。必ずしもプラスの複利効果が得られるとは限らず、元本割れの恐れがあることは予め承知しておく必要があります。
そこで、重要になってくるのが分散投資です。
古くから言われているように、一つの商品に全額投資をするのではなく、株式・債券・土地など、相関が弱い商品を組み合わせてポートフォリオを作っておくのが賢明です。
複利効果はマイナスにも働く
複利効果はマイナス方向にも強く働きます。
サラ金やクレジットカードなどで100万円を借り返済しなければ、借金は雪だるま式に増えていきます。これも複利効果です。
味方につければ心強く、敵に回せば恐ろしいのが複利の力。
上手に付き合っていきましょう。
複利計算シュミレーション
単純な複利計算ならまだしも、長期で元本の金額が変わる積立投信やローンの計算は困ってしまう場合が多いかもしれません。
そんな時はネット上を探せば、株、FX、定期預金、積立など投資や資産運用のシミュレーションがいろいろ用意されているので、すぐに見つかります。
毎月の積立額や金利から、一定期間後の残高がいくらになっているかなどをシミュレーションできます。
「72の法則」でお金の増え方がわかる!
「72の法則」とは、複利計算で投資したお金が倍になる期間がわかる法則です。
例えば、年利5%で運用することを目標とした時に、投資金が2倍になる年数は
という計算で求めることができます。
運用する金利 | 計算式 | 2倍になるのに必要な年数 |
---|---|---|
1% | 72÷1=72 | 約72年 |
3% | 72÷3=24 | 約24年 |
5% | 72÷5=14.4 | 約14年 |
7% | 72÷7=10.3 | 約10年 |
10% | 72÷10=7.2 | 約7年 |
また、投資金を8年で2倍にするために必要な年利を求める時にも使えます。
この場合には、
という計算式になります。これを覚えておくと、暗算で計算ができ、おおよその目安がすぐに分かるようになります。
複利運用とは、利益の再投資
複利運用とは、過去の資産運用で儲けた利益をそのまま投資資金として運用し、さらに多くのリターンを求める運用方法です。
FXでは、トレードによる利益と高金利通貨に投資した場合のスワップポイントによる収益という2種類のリターンがあります。
FXでの複利運用は、この2種類の利益をそのまま運用資金として再投資に回して、さらにレバレッジをうまく活用しながら利益の拡大を目指せます。
株式投資でもFX投資でも、速く効率的に資産を増やしたい場合には複利運用がおすすめです。
リスクが限定できる「単利」
利息部分を投資元本に組み入れないため、複利に比べると資金の増加ペースは遅くなりますが、投資元本の毀損が生じた時、過去の利息分にまで被害が及ばないメリットが「単利」にはあります。
リスクから分離して資金保全することが可能です。
FX初心者が負けるパターンは、コツコツドカンだと言われます。コツコツと複利効果で積み上げた利益を、たまにドカンと発生する損失で、利益分どころか投資元本も減らしてしまうケースはFX初心者が失敗する典型的なケースとして有名です。
なので、FX初心者が資金を効率的に増やすには、単利運用をするべきです。
稼いだ利益は再投資せず、貯蓄あるいは消費のためなどに運用資金から引き出すことをおすすめします。
FX投資で複利運用
複利で運用が出来ることは、投資をする際の大きな魅力となっています。
複利の力は絶大で、あの天才科学者アインシュタインに「人類最大の発明」と言わせたのが複利効果です。
理論上では10万円の資金をレバレッジ25倍で枚数上限無し、1日10pipsで複利運用すると、取引日数たったの293日で1億円に達します。わずか1年足らずで、1億円が手に入ります。
ただし、「史上最高の投資家」と呼ばれるウォーレン・バフェット氏は50年近く資産を運用し
大きな成功を収めていますが、それでも年利で20%前後です。
そのため10万と少額からスタートの場合には、月利20%で資産を増やすことができれば、数年で1億円まで増やすことが出来ます。
運用を早く始めれば始めるほど、長期投資になればなるほど、この複利効果はより大きく期待できます。
複利を利用した中長期的な資産運用は、年金やインフレのように、将来的にじわじわ効いてくるリスクへの備えとしても有効な手段です。
理論通りには簡単にいかない理由
ただし、複利運用はあくまで理論上であり、実際に実現することは、結構難しいと言わざるを得ません。
これには大きな落とし穴があります。1日10pipsの複利運用で、シミュレーションどおり利回りをキープし続けるのは、いくつかの困難を乗り越える必要があります。
FX投資での複利運用が成功するためには、大きく3つの注意点があります。
- 人間の感情が妨げになる
勝ち始めると、負けるまでやってしまうのが人間の欲というものです。勝っている最中にトレードを止める、投資の世界で『勝ち逃げ』するのはとても難しいことです。 - 取引枚数が増えると冷静にトレードできない
取引枚数が増えると、今まで出来ていた10pipsトレードができなくなります。損切りしたら1000円のマイナスと、100万円のマイナスになるのとではトレードする際の「恐怖心」が、全然違ってきます。 - 資金増加のスピードに成長が追いつかない
お金が増えるごとに「恐怖心」が大きくなるとともに、「欲望」でルールが守れなくなる可能性が極めて高くなります。そうならないためには、複利で運用することと、あなたの成長を同じスピード感にすることです。
急に宝くじで1億円を手に入れたら人はどうなるか?考えてみると、わかりやすいかと思います。
利益が出たら「取引枚数を増やす」
利益が出て、投資資金が増えるごとに「取引枚数を増やす」のが、複利効果を狙った戦略です。
取引量を増やすには、それ相応の慣れと経験が必要となってきます。
1日10pipsを目標にした場合、何枚でトレードするかによってやり方が異なります。
1枚(1万通貨)で10pips取るのと、100枚(100万通貨)でトレードするのは、意味合いが全然違ってきます。1枚で10pipsだと1,000円で、100枚で10pipsだと100,000円です。
もし、1日100,000円の利益を目標にした場合、20枚で50pips取ったらいいか、100枚で10pips取ったらいいのか悩むことになります。
FXで複利の力を上手に活用するのか、それとも扱い切れなくなるかは、すべてあなたのやり方次第ということです。
ロットの上げ方
ロットを上げる際に考えなくていけないことは、人にはそれぞれ「自分が許容できる金額」というものがある、ということです。
あなたはいくらまで瞬時に、躊躇することなく損切りすることができますか?
このリスク許容度が上がっていかなければ、いつまでたってもロットを上げることができません。
例えば、10万円をドル円、1万通貨(1枚)から運用スタートした場合、どの時点で2万通貨(2枚)に増やしていけばよいのでしょうか?
これは投資元金が2倍の20万円になるまで1万通貨で運用し、元金が2倍の20万円になった時点で2万通貨にロットを上げます。
FXで複利効果を得るには
複利運用はリターンだけではなく、リスクも受け入れなければなりません。「勝つこと」だけが前提になっていてはダメだということです。
元手資金が増加するたびに取引量も増やせるため、資産が増加するスピードが最大限早くなります。ただし、負ける額も大きくなるので、注意が必要です。
複利は、利益と同じく損失も短期間で増えていきます。実際にリスクに直面したとき、事態を冷静に受けとめて対処できるかどうか、一番大きいのは心の問題です。
そのためには、マインドセットを学んで、リスク許容度を上げる訓練をおこない、経験を積む必要があります。
また、投資元本の何%までリスクを取るのか、負けトレードの際の資金管理というのも重要となってきます。