為替相場が動くワケ

外国為替市場とは?

24時間休みなく取引が行われている外国為替市場。さまざまな市場参加者が、それぞれ目的を持って通貨の売買を行っています。

市場というと、株式の市場である東京証券取引所のような特定の場所や建物をイメージするかもしれませんが、為替市場には実はそういった場所などは存在しません。

なぜなら、為替取引は1つの取引所で集中的に売買が行われる「取引所取引」とは異なり、売り手と買い手が1対1で電話やその他の通信機器を通して価格や数量などの取引条件を決定し、決済(精算)までを行う「相対取引(店頭取引)」だからです。電話やコンピュータ回線などを通じて取引されるネットワーク市場なのです。

こうした外国為替市場は、東京のほか、ニューヨーク、ロンドン、パリ、香港、シドニーなど、世界中のどこかで24時間取引が行われています。

特に取引が集中する都市の名前を取って、イギリスであれば「ロンドン外国為替市場」、アメリカであれば「ニューヨーク外国為替市場」、日本であれば「東京外国為替市場」と呼んでいるだけで、為替取引は世界各国のあらゆる場所で行われているのが実態です。

外国為替の取引には、銀行や証券会社、一般の企業、個人などが参加していますが、市場には、銀行間の取引が行われるインターバンク市場と、銀行と顧客(一般の企業や個人等)との取引が行われる対顧客市場の2つがあります。

TVのニュースなどで「今日の外国為替市場は…」というような場合には、銀行間の為替取引を指すことが一般的です。

円高・円安とは?

外国為替取引は、株と同じで円高の時にドルを買い、円安になったところでドルを売れば儲かる仕組みです。 

円の供給より需要の方が高くなれば、円の相場は上昇するので「円高」となります。逆に、円の供給よりも需要が低くなれば、円の相場は下降するので「円安」となります。

ここで注目すべき点は、それぞれのケースにおいて「円の価値」がどうなるか、です。

【円高となる要因 】
  • 日本の貿易収支が黒字となる。(輸出が増える)…商品の代金として受け取った外貨を円に交換、円の需要が増加する。
  • 日本の株価が上がる。…世界中の投資家が日本の株を買おうとして、日本に資金が流入し、円高となる。
  • 日本の景気が良くて、アメリカの景気が悪い。…日本の景気が良いと、日本の会社の株がどんどん買われ、株価が上昇する。
  • 日本の銀行の金利の方がアメリカより高い。…ドルを円にかえて日本の銀行に預ける。日本の景気がよくなると金利も高くなるので、円に人気が集まる。
  • 外国人が日本の国債を買う。
  • 技術革新などで、日本の生産性が向上する。
  • 日本に来る外国人観光客が増加する。
【円安となる要因】
  • 日本の貿易収支が赤字となる。(輸入が増える、輸出が減る)…手持ちの円を外貨に替えて、代金を支払う。そのため外貨の需要が増加する。
  • 日本の株価が下がる。…投資家の資金が流出して、通貨が売られ、円安になる。
  • 日本の景気が悪くて、アメリカの景気がよい。…日本の景気が悪いと株が売られ、株価が下がる。日本の会社の株を売って、アメリカの会社の株を買うという流れができる。
  • アメリカの銀行の金利の方が日本より高い。…円をドルにかえてアメリカの銀行に預ける。日本の景気が悪くなると、金利も下がり、円を手放す人が増える。
  • 原油価格が上昇する。…日本は原油をほぼ 100%輸入に頼っているため輸入額が増える。より多くの代金を支払わなければならないので、日本からドルが流出して、円安になる。(原油に限らず、輸入品の値上がりは、円安の要因となる。)
  • 日本の企業がアメリカの株・国債を買ったり、海外に工場を建設する傾向が強まる。(アメリカをはじめ海外への投資が増える)
  • 日本のインフレ率が高くなる。…物価が上昇することで、お金の価値が下がる。需要が減るので、円安傾向となる。

実際の為替市場では、必ずしも上記のように動くとは限りません。円高に進む要因と円安に進む要因とのバランスによって、最終的には円高円安かが決まってきます。

さらに、こうした要因の他にも、国内政治や国際情勢、投機筋の思惑、政府や日本銀行の介入など複雑な要因が絡み合って、為替相場は変動します。

為替相場の変動要因

あなたが寝ている間にも、為替相場は刻々と変化しています。

変動相場制においては、為替相場は、誰かが一方的、恣意的に決めるわけではなく、市場における需要と供給のバランスによって決まります。これは、物やサービスの価格が決まるのと同じ原理です。

相場を動かす要因には色々ありますが、最終的に、為替相場は需要(円を買いたい人の量)と供給(円を売りたい人の量)のバランスでその価格が決定されます。

外国為替の「実需」

通貨を交換するための市場を「外国為替市場」、通貨の交換比率を「為替レート(外国為替相場)」といいますが、外国為替は通貨の交換を伴う点が最大の特徴です。

国境を超えた貿易の決済には外貨が欠かせません。そのため、為替市場には為替レートがいくらであろうと取引する参加者が必ずいます。これは株式市場と異なる点です。

例えば、トヨタ自動車は年間20兆円ほどの売上がありますが、その7割以上は海外売上。ドルやユーロで売った代金を円に換える取引を行なう必要が出てきます。

商品の輸出入、外国証券や海外不動産への投資、企業の海外進出(M&A)など、国際的な取引の多くは 外国為替を利用して金銭の受払いが行われます。

こうした実際の消費や投資のためにある需要のことを「実需」と言います。

経済の基礎的要因(ファンダメンタルズ)

貿易収支や海外投資の状況、インフレ率など国の経済状況を示す基礎的な条件はファンダメンタルズと 呼ばれ、長期的な為替の動向に大きな影響を与えます。

このファンダメンタルズについては、FX初心者にやさしい「ファンダメンタルズ」の分析の記事で詳しくまとめているので、参考にしてみてください。

金融政策、市場への介入

為替相場は、基本的には2国間の力関係によって、強い方の国の通貨が買われて高くなり、弱い国の通貨が売られて安くなります。

国の金融政策を担う中央銀行や政府が、為替相場を安定させることを目的に、外国為替市場で自国の通貨を売買することがあります。これが「市場介入」と呼ばれるもので、自国の通貨が高くなりすぎているような場合には、自国通貨を売って外貨を買うことで自国通貨を安くしようとし、反対に安くなりすぎている場合には、自国通貨を買って外貨を売ることで自国通貨を高くしようとします。

その結果、為替相場は短期的に大きく変動することになります。

地政学的要因など

戦争やテロによって政情不安が起きると、投資活動や消費に悪影響が出ることが懸念され、その国の通貨は売られる傾向となります。

また、各国の長期国債の格付が下がったり、アメリカの大統領やFRB(連邦準備制度理事会)議長など、世界経済に対する影響力が大きい人物の発言などによっても、為替相場は大きく動くことがあります。

為替レートの予想は困難

FXは誰でも簡単に始められますが、FXという世界は、なかなか理解しづらいものです。

多くの投資家は同じようなチャートを利用して売買していることから、チャート分析などをしながら売買取引を行っていきます。

ところが、いくら考えてみても「なんで今、相場はこんな動きをするのだろう?」というような理解出来ない場面に出会うことも、少なくありません。

なぜなら、FXはが動かしているものだからです。

FX相場を動かしているのは、機械でもシステムでもなく、FX相場に参加している一人一人です。参加者が多く取引が盛んに行われれば、それに伴い市場で動く資金量も多くなり、売り買いのバランスが一方に偏ればその分一定の方向に動きやすくなります。

為替レートは市場参加者の思惑や、実に様々な要因が複雑に絡み合って動くため、「○○だから上がる(下がる)」というように一筋縄でセオリー通りにいかないことがあるのはこうした事情があります。

なので、この地合は間違いなく売りだろうと踏んでいても、自分の思惑とは全く逆の方向に動いてしまうことも多々あるのです。

トレードして良い時と悪い時

トレードして良い時というのは、チャートやテクニカル分析で読みやすい相場となっている場合です。

サポートライン(支持線)やレジスタンスライン(抵抗線)など、節目として意識されるレートを目安にテクニカル分析通りに動いてくれる相場の時です。

それは落ち着いた動きをしているときもあれば、相場が活気づいて、元気よく動いている時もあります。

その一方で、相場が荒れている時というのは、テクニカル分析で読めるほど簡単な相場ではなく、難易度が高い相場となっていますので、初心者は絶対手を出してはいけません。

値動きが激しいくせに方向性が無い、もしくは分からない、こういうときは危険ですので手を出さずに 様子見するのが一番です。

相場は投資家の心理で形成されている

為替をはじめとする相場の世界は、市場心理によって動きやすい傾向にあります。相場は、市場参加者の「感情」によって変動する側面を持っています。

「市場心理」と「相場観」

相場に関連した事柄に対する市場参加者の判断、予想、期待などを「市場心理」といい、
なかでも、相場の先行きに対する見方を「相場観」と呼びます。

市場心理によって為替相場がどう変動するかは、市場参加者がある指標に対し事前にどう予想していたか、ということがポイントになります。このとき市場参加者の予想値は、ブルームバーグやロイターといった情報ベンダーを通じて前もって知ることができます。

市場参加者の相場観がリーズ・アンド・ラグズ投機といった行動を起こし、実需取引から予想される 相場とは異なる動きを示すことがあります。

先行きのドルが高くなると多くの人が予想すれば、ドルの決済時期を早めたり(リーズ)・遅らせたり(ラグズ)することで、相場は短期間に急激な変化を示すことがあります。

また予想が極端に一方に偏り、為替市場が外貨の買い一色、あるいは逆に売り一色となる場合があります。

このような時は買い手がいないために売りたい人の出す売値だけが落ちていく、あるいは売り手がいないために買いたい人の買値だけが上がっていく、すなわち「気配」だけが変化していくといった現象が生じます。

実需の買い?投機筋の売り?

為替市場には、さまざまな思惑をもった参加者が集まってきます。

彼らの動きは「実需筋」と「投機・投資筋」に大別できます。たとえば、グローバルに展開している企業が海外での売上を自国通貨に交換するような動きが実需で、投機筋とは『為替差益』を目当てにする取引です。

「投機・投資筋」のプレイヤーは、銀行証券会社保険会社といった金融機関投資信託年金基金ヘッジファンドがその代表例としてあげられます。いわゆる機関投資家と呼ばれる投資主体のことを言います。

これらのうち、ヘッジファンドは比較的短期思考が強く、利益を追求してアグレッシブに資金を回転させやすい「投機筋」と呼ばれるのに対し、長期スパンの投資を前提とする投資信託や年金基金、保険会社は「リアルマネー」と称されることもあります。

外貨の需要と供給(バランス)が外国為替市場における為替レート(外国為替相場)を決める基本となりますが、外国為替相場は動態的なものです。市場の参加者の思惑が市場の需給に大きな影響を与えることがあります。

年金の運用基金が注目される

今や日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は「世界最大の機関投資家」として知られ、市場でGPIFがいつ動くかが注目されています。

ヘッジファンドが数日から1年以内での短期的な利益を目指して取引するのに対して、年金基金の取引はもっと中長期的に行われるのが大きな違いです。

短期筋は「買ったら、売る」「売ったら、買い戻す」と、すぐに決済するので市場に残るポジションは ゼロです。

それに対して、年金基金のような参加者は、一度取引を始めたらすぐには決済しません。買ったら買いっぱなし、売ったら売りっぱなしで放置するから、市場にポジションが積み上がっていくのですが、これが意外と市場に与える影響が大きいようです。

取引高では投機筋のほうが大きくても、GPIFのような年金基金の動向が市場で注目されるのはこうした理由があるからです。

相場を動かす巨大な力

為替相場は、各国の経済情勢(ファンダメンタルズ/貿易収支・投資収支・景気動向・金利・物価など)や、政治情勢(金融政策や国際関係など)を反映して絶えず上下しています。また、為替相場が大きく変動しないような市場への介入もあります。

ここで忘れてはならないのは、マーケットには相場を動かせるほどの力がある機関が存在することです。

たとえどんなテクニカルやファンダメンタルがあっても、相場を動かそうと思えば動かせられる投資家組織が現実には存在する、ということです。

為替が動くタイミングとしてテクニカルやファンダメンタル、経済指標などが挙げられますが、それらはあくまできっかけにすぎません。

マーケットの裏には、私たちの想像を超えた資金力や組織力を持った機関が存在するということを忘れてはいけません。

カモにならないように、ヘッジファンドには注意

FXの参加者には、その気になれば簡単にチャートを動かせてしまうほどの強力な資金調達力を持つ機関として、ヘッジファンドが存在します。

ヘッジファンドは元々、下降相場において持っている投資資産のリスクをヘッジ(回避する)という観点から「空売り」と呼ばれる手法を行ってきました。

例えば、ストップ狩りとよばれる個人投資家がこれ以上の損は耐えられないと言う「ストップ(逆指値)」のラインまで相場に売りを浴びせて落としたり、逆に買いを浴びせて相場を引き上げたりして利益を上げています。

FXは、こうした莫大な資金を持った人たちの稼ぎ場ともなっています。マーケットを動かすほどのヘッジファンドが得意とする売りで何を狙うのかといえば、それは個人投資家の運用している資金です。

とくに投資初心者は彼らからみれば恰好の餌食です。なので、相場のカモにされないようにできる対策はきちんとしておきましょう。

ヘッジファンドに狩られないためには、無駄にポジションを長期間放置しないことや、損切りを必ず設定しておくといったことは必須です。