
ヘッジファンドとは
ヘッジファンドとは、資産家などから集めた膨大な資金を、独自の投資手法で運用して利益を出している会社のことをいいます。
FXだけではなく、株、先物、債券もヘッジファンドは運用しています。
相場が下降している場合、その時持っている資産のリスク(危険)を「ヘッジ(回避)する」という行為から元々は名付けられたもので、買いよりも売りを得意としたものです。
なので、ヘッジファンドは売りから入るトレードを基本としていましたが、現在は多岐にわたるトレード方法を駆使しています。
ヘッジファンドと投資信託
ヘッジファンドと投資信託は、預けた資金をプロが運用するという点は共通しており、一見似ているのですが、投資スタイルや考え方などは大きく異なります。その違いが市場に影響を与えるインパクトとして投資家に大きな影響を及ぼしています。
ヘッジファンド | 投資信託 | |
---|---|---|
投資対象 | デリバティブ全般 | 現物、債券など |
運用目標 | 絶対収益を狙う | ベンチマークを上回ることを目標(相対収益) |
募集形態 | 私募 | 公募 |
投資手法 | 買い、空売り、レバレッジ | 買い |
投資スタイル | 短期、集中投資 | 中長期、分散投資 |
顧客 | 機関投資家、富裕層など | 個人投資家など |
報酬 | 運用利益に比例(成功報酬) | 購入手数料・信託報酬 |
必要資金 | 高額(数千万円以上) | 少額(大体1万円から) |
ヘッジファンドの実態は、絶対収益を追及して髙い収益を狙い、ハイリスク・ハイリターンな運用を行うファンドです。
ヘッジファンドによる戦略の違い
ヘッジファンドは大きく分けて、マクロ系とモデル系の2つに分けることができます。
マクロ系ヘッジファンド
マクロ分析によって相場を分析し投資するファンドのことです。
経済的要因を捉えたファンダメンタルズによる分析を行い、将来の値動きを見据えた長期での売買を行うという特徴を持っており、投資資金を積み上げていくという運用方法です。
モデル系ヘッジファンド
主にテクニカル分析を元にコンピューターや数学的な立場から相場を分析し、投資家の投資傾向や心理状態なども考慮したアルゴリズムトレードと言う手法でシステム投資を行っているファンドのことです。短期での売買が中心で、早く強いトレードをする傾向があります。
それぞれ投資スタイルや運用方法は異なります。
ヘッジファンドがFXの相場に与える影響
ヘッジファンドは、あらゆる手段を用いて相場参加者から金を奪う運用のプロ集団です。相場が上がろうが下がろうが収益を上げなくてはいけない、というのが彼らの使命です。
そんな強者たちを相手に、FXで安定して稼いでいくためには、このヘッジファンドがどういうものなのか知っておく必要があります。
ヘッジファンドが何をするのか理解できれば、FX相場の急な変動で焦ることはないわけです。
FXでポジションを取ったとたんに、急にレートが下落するあの現象は、実はヘッジファンドが原因となっていることが多くあります。
ヘッジファンドはFX相場を動かします。
北米での運用残高は150兆円
ヨーロッパでの運用残高は50兆円 とも言われており、
FXの市場自体に大きな影響力を持っています。
富裕層から集めた莫大な資金を使って、ヘッジファンドはFXの相場を急下落、急上昇させたりします。
ストップ狩りについて
ストップ狩りと呼ばれる手法をヘッジファンドは得意としています。
投資家たちのストップオーダー(損切り覚悟の逆指値注文など)を狙って、パワープレーを仕掛けるもので「ストップ狩り」とよばれています。
これはFX市場・為替相場において日本の個人投資家の逆指値注文や強制決済を狙った投機的な注文です。
このストップ狩りの詳細については、以前の記事でまとめてありますので、こちらを見てください。
売りから入る(空売り)
FXは取引を売りから始めることができるのが特徴で、売りから入って儲けることが可能です。
これを「売りから入る」や「空売り」と呼んでいます。
売りから入る「空売り」は、株式投資の専門用語で、本来は現物の株式を持たずに売る行為のことを言いました。
「空売り」したポジションは決済することで、初めて利益や損失を確定できます。この売りポジションの決済のことを「買い戻し」と言います。
FXの売り(ショート)は、為替レートが下がると利益になります。売りエントリーが適している場面は、相場が下降している時、戻り売りやダブルトップなどが、おすすめのエントリータイミングとなります。
株の空売りとの違い
FXでは口座を持っていれば、誰でも空売りすることができます。
株で空売りするには「信用取引専用口座」が必要で、事前に審査があります。
しかも、FXは”差金決済”が原則ですので、外部から現物(為替通貨)を借りてくるようなことはありません。そのため、株と違い、FX取引では貸株料など費用が発生しないのです。
さらに、株や先物、CFDと違い、FXでの空売りに期限は設けられていません。
スワップポイントに注意
「売りから入る」場合の注意点に、スワップポイントがあります。
金利の低い通貨を売って、金利の高い通貨を買う場合、ポジションを持ち続ければスワップポイントは 利益として受け取ることができます。しかし、金利の高い通貨を売って、金利の低い通貨を買う場合は、逆にスワップポイントを支払わなくてはならなくなります。
現在、超低金利の日本円は「買ってから、売る」場合には有利に働きますが、売りから入る場合は、不利になるケースが多いので注意が必要です。
FXは「売りから入る」ことで利益が出る
売りから始めるのは怖い、という人がいれば、それは誤解だと思います。スワップポイントが支払になるのは、ちょっと…と言われる方は一度きちんと計算してみてください。
スワップポイントを支払っても利益が出るケースは多く、「売りから入る」ことを覚えれば、
単純にチャンスが2倍に広がります。
空売りを知っておけば、下げ相場でも利益を上げることができます。
FXの買いと売りでリスクは違うのか?どっちが危険なのか?といえば、これは手法によって変わりますし、通貨ペアによっても変わりますので、一概にどちらがとは言えません。
ですが、相場は上昇相場よりも、下落相場の方がスピードは早い傾向がありますので、売りから始めた方が早く決着をつけることが可能なことは割と多くあります。
ヘッジファンドの投資戦略にあわせた対応
ヘッジファンドの攻撃はいつ来るか分からないので、初心者はとくにリスクを回避するよう努めてください。
心配なら「逆指値」を入れて、持っているポジションに保険をかけておくことが必要です。これが「ストップ注文」と呼ばれるもので、自分の予想とは反対の方向にFXの相場が動いた時の保険となります。
FXでトレードするときには、必ず逆指値注文を出しておくことです。
なお、その際には、損切り幅を広めにとることを意識してみてください。みんなと同じ集中しやすいポジションを取ってしまうと、ストップ狩りの餌食となってしまう可能性が高いからです。
ヘッジファンドの戦略としては、日本時間の早朝が狙われやすいようです。
また、「ストップ狩り」で個人投資家の損切りを意図的に起こすのは、市場の流動性が低い時にしか発動しないという傾向がみられます。いくら資金力が豊富にあるとは言っても、いつ、どこでもというのでは効果が薄いようです。
なので、どうしても「ストップ狩り」にあいたくない場合は、FXの流動性が高い時にトレードすることが良いと思われます。
また、勉強が必要となりますが、仕掛け自体を自らのトレードプランに取り込むというのも有効です。
影響を回避するのではなく、逆にヘッジファンドの仕掛けに乗るということです。
日本のFX投資家が築いたポジションを狩りに、日本人が寝静まった金曜日の深夜、2、3ヶ月に一度ぐらいのペースでヘッジファンドは仕掛けてくることがあります。